Cloudflare が「減速 CDN」と言われる理由と、優良 IP 選定で国内アクセス速度を 5 倍にする 3 ステップ
海外から自分のサイトを開くと一瞬で表示され、リソースもサクサク読み込まれる。なのに国内の友人から「数秒待たされる」「タイムアウトする」と言われたことはありませんか。最初に遭遇したとき、私も戸惑いました。サーバー設定も CDN も問題ないはずなのに、なぜこんなに遅いのか。
原因は Cloudflare にありました。世界最大級の CDN と言われても、国内では「減速 CDN」と揶揄されることも少なくありません。サーバーやコードの問題ではなく、国内ユーザーに割り当てられる Cloudflare の IP ノードの品質が低い——遅延が高く、パケットロスが多く、速度も出にくいのです。
幸い、この問題は解決できます。オープンソースの CloudflareSpeedTest を使えば、国内から最も速い Cloudflare ノード IP を特定し、手動で「優良 IP」として設定できます。全体で 10 分ほど。設定後はアクセス速度が 3〜5 倍向上し、遅延が 280ms から 45ms まで下がるケースもあります。
この記事では、優良 IP 設定の全フローを共有します。
- ツールのダウンロードと使い方(Windows / Linux / Mac 対応)
- 測速結果の読み方と最適 IP の選び方
- 3 つの設定方法(シンプルからプロ向けまで)
- よくある問題のトラブルシューティングと注意点
それでは始めましょう。
なぜ Cloudflare は国内で遅いのか?まず仕組みを理解する
最適化の手順に入る前に、なぜ遅くなるのかを押さえておきましょう。後の設定で「何をしているか」が分かります。
Cloudflare は Anycast 技術を使っています。世界各地にノードを置き、同じ IP アドレスを割り当てます。アクセスすると、ネットワークが自動的に「最も近い」ノードへルーティングします。一見うまくいきそうですが、問題はこの「近い」の定義にあります。
ここでの「近い」は地理的距離ではなく、ルーティング上の近さ——ホップ数やトポロジーなどです。アルゴリズム上「近い」と判断されたノードが、国内から見ると遅いことも珍しくありません。香港経由で日本を経て目的ノードへ、といった回り道になり、遅延が跳ね上がります。
もう一つの要点:Cloudflare の国内ノードは無料ユーザーには開放されていません。国内にデータセンターはありますが、エンタープライズ有料ユーザーのみ利用可能です。無料ユーザーに割り当てられるのは、香港・日本・韓国、あるいは米国西海岸など周辺のノードが中心。国際回線の品質やピーク時の混雑も重なり、遅くなりがちです。
私が計測したところ、デフォルト IP の遅延は 200〜300ms、パケットロスも発生することがありました。同じ Cloudflare の IP でも、ノードによっては 30〜80ms まで下がり、速度差は数倍に及びます。
だから手動で「優良 IP」を選ぶ——国内から品質の良いノード IP を見つけ、サイトをそこ経由に固定するのです。
CloudflareSpeedTest:10 分で最速 IP を見つける
原理は以上。実践に入ります。使うのは GitHub のオープンソース CloudflareSpeedTest(XIU2/CloudflareSpeedTest)。スター 2 万以上の実績があります。
ダウンロードとセットアップ
インストール不要。ダウンロードしてすぐ使えます。OS に合わせてバージョンを選んでください。
Windows ユーザー:
- GitHub Releases(https://github.com/XIU2/CloudflareSpeedTest/releases)へ
CloudflareST_windows_amd64.zipをダウンロード- 任意のフォルダに解凍
CloudflareST.exeがあれば OK
Linux ユーザー:
mkdir cfst
cd cfst
wget https://github.com/XIU2/CloudflareSpeedTest/releases/download/v2.3.4/CloudflareST_linux_amd64.tar.gz
tar -zxf CloudflareST_linux_amd64.tar.gz
chmod +x CloudflareST
Mac ユーザー:
CloudflareST_darwin_amd64.tar.gz(Intel)または CloudflareST_darwin_arm64.tar.gz(M シリーズ)をダウンロードし、解凍後にターミナルから実行します。
測速を開始する
最もシンプルな使い方:
Windows:CloudflareST.exe をダブルクリック。コマンドプロンプトが開くので待つだけ。
Linux / Mac:ターミナルで ./CloudflareST を実行。
出力例:
开始延迟测速(模式:TCP, 端口:443, 范围:1-200)
进度: [==================================================] 100%
开始下载测速(下载速度下限:0.00 MB/s, 数量:10)
下载测速进度: [==================================================] 100%
ネットワークとパラメータ次第で 5〜15 分ほど。私はその間にコーヒーを淹れています。自動で完了します。
測速結果の読み方
完了すると result.csv が生成されます。Excel やテキストエディタで開いてください。特に次の列を確認します。
- IP アドレス:設定に使う Cloudflare ノード IP
- 平均遅延:最重要指標。低いほど良い。100ms 未満を推奨
- ダウンロード速度:大容量ファイルの読み込みに影響。5MB/s 超を推奨
- パケットロス率:0% 必須。ロスがある IP は除外
上位の IP は概ね良好です。私の計測では、日本ノードの IP が 1 位で、遅延 45ms、ダウンロード 18MB/s、ロス 0% でした。
落とし穴:平均遅延が 0.3ms、0.5ms など異常に低い場合、プロキシソフトが有効な可能性が高いです。プロキシを切って再測定しないと結果が不正確になります。初回、私も「超高速」IP を選んで設定したら、全然合わなかった経験があります。
応用テクニック:パラメータ調整で精度を上げる
基本用法で十分ですが、より正確な結果が欲しければパラメータを調整できます。
ピーク時間を避けて測速する
とても重要です。20 時〜24 時はネット混雑のピーク。時間帯で結果が大きく変わります。おすすめは次の時間帯です。
- 日中(10 時〜16 時)
- 深夜(1 時〜5 時)
週末は平日より結果が安定しやすいこともあります。
よく使うパラメータ
CloudflareSpeedTest は多くのオプションに対応しています。実用的なものをいくつか:
# Windows 例
CloudflareST.exe -n 500 -t 10 -dn 20 -dt 15
# Linux / Mac 例
./CloudflareST -n 500 -t 10 -dn 20 -dt 15
パラメータの意味:
-n 500:測速スレッド数。デフォルト 200 から 500 に増やすとより多くの IP をスキャン-t 10:各 IP を 10 回計測(デフォルト 4)。結果が安定-dn 20:ダウンロード測速対象を 20 件(デフォルト 10)。比較が増える-dt 15:各 IP のダウンロード測定を 15 秒(デフォルト 10)。精度向上
パラメータを上げると測速時間は 20〜30 分に延びます。精度重視ならその時間は価値があります。
地域を指定して測速する
特定リージョンのノードだけ測りたい場合は -cfcolo を使います。
# 香港・東京・サンノゼのみ
CloudflareST.exe -cfcolo HKG,NRT,SJC
よく使う地域コード:
- HKG:香港
- NRT:東京
- SJC:米国サンノゼ
- LAX:米国ロサンゼルス
- SIN:シンガポール
ユーザーが主にアジアにいるなら、アジアノードだけ測って時間を節約できます。
Cloudflare 公式の測速 URL を使う
デフォルトはサードパーティの測速ファイルです。より正確にしたい場合:
CloudflareST.exe -url https://speed.cloudflare.com/__down?bytes=500000000
500MB をダウンロードして測速するため、実利用に近い結果が得られます。当然、時間は長くなります。
優良 IP をサイトに設定する:3 つの方法
測速して IP を選んだら、サイトに反映します。シンプルからプロ向けまで 3 通り紹介します。
方法 1:DNS レコードを直接変更(最も簡単、5 分)
最も直接的な方法。個人サイトや小規模サイト向け。
手順:
- DNS プロバイダ(Alibaba Cloud / Tencent Cloud / Cloudflare など)にログイン
- ドメインの DNS レコード管理を開く
- A レコードの IP を測速で得た優良 IP に変更
- 保存し、DNS 反映を待つ(通常 5〜10 分)
例:最適 IP が 104.16.123.45 なら、
A レコード: blog.example.com → 元の IP
を
A レコード: blog.example.com → 104.16.123.45
に変更。
メリット:設定が非常に簡単。数分で完了。
デメリット:Cloudflare ダッシュボードに「IP が露出」という黄色警告が出ます。CDN 機能には影響しません。源站 IP が見えているという通知です。また、優良 IP が遅くなったら手動で差し替えが必要です。
方法 2:優良ドメインへの CNAME(推奨、フェイルオーバー性あり)
ドメインを、すでに優良 IP へ解決されている Cloudflare ドメインへ CNAME する方法です。大手企業の Cloudflare ドメインは優良 IP が割り当てられていることが多いです。
よく使われる優良ドメイン:
time.cloudflare.comwww.visa.comwww.csgo.comshopify.comicook.hk
手順:
- DNS プロバイダで既存の A レコードを削除
- CNAME レコードを追加し、優良ドメインを指定
- 保存して反映
例:
CNAME: blog.example.com → www.visa.com
なぜこれらのドメインが優良なのか。大手ドメインには Cloudflare が品質の高い IP を割り当て、特に中国本土からのアクセス向けに最適化されていることが多いからです。
メリット:設定も簡単。ある程度の冗長性も期待できる。ドメインが失効したら別のものに差し替え可能。
デメリット:優良ドメインが無効になる可能性は低いものの、定期的な速度確認は推奨。
方法 3:キャリア別 DNS 解決(プロ向け、速度を極限まで)
大規模サイトや速度に敏感な場合向け。電信・联通・モバイルユーザーごとに異なる優良 IP へ解決します。
なぜキャリア別にするのか
三大キャリアの回線は異なります。電信ユーザーに速い IP が、モバイルユーザーには速くないことも。分けることで各キャリアのユーザーが最適な体験を得られます。
手順:
- キャリアごとに測速:電信・联通・モバイル回線それぞれで測り、3 つの最適 IP を取得
- 電信最適 IP:例
104.16.111.11 - 联通最適 IP:例
104.16.222.22 - モバイル最適 IP:例
104.16.333.33
- 電信最適 IP:例
- スマート DNS を設定:
DNSPod や Alibaba Cloud DNS(回線別解決対応が必須)で:- A レコード、回線「電信」、IP
104.16.111.11 - A レコード、回線「联通」、IP
104.16.222.22 - A レコード、回線「モバイル」、IP
104.16.333.33 - A レコード、回線「デフォルト」、総合最適 IP
- A レコード、回線「電信」、IP
- 保存して反映
メリット:各キャリアユーザーが最高速度を得られる。
デメリット:設定がやや複雑。3 回測速が必要。定期メンテナンスも推奨(月 1 回の再測速)。スマート DNS 対応プロバイダが必要。Cloudflare 無料 DNS では非対応。
おすすめの選び方
- 個人ブログ / 小規模サイト:方法 1 または 2。シンプルで十分
- 月間数千〜数万 PV:方法 2。コスパ最高
- 大規模 / 速度重視:方法 3。手間はかかるが効果最大
私のブログは方法 2 です。一度設定すればほぼ放置で、速度も満足しています。
効果検証とよくある問題のトラブルシューティング
設定後、効果を確認する方法と、問題が起きたときの対処をまとめます。
最適化効果の検証
方法 1:ping テスト
最も手軽です。コマンドラインを開き:
Windows:
ping blog.example.com
Mac / Linux:
ping -c 10 blog.example.com
遅延の目安:
- 最適化前:200〜300ms、それ以上のことも
- 最適化後:理想は 30〜80ms
私のブログでは、最適化前 280ms、最適化後 45ms。約 6 倍の差でした。
方法 2:ブラウザの開発者ツール
- F12 で開発者ツールを開く
- 「Network(ネットワーク)」タブへ
- ページをリロード
- リソースの読み込み時間を確認
注目ポイント:
- ファーストビュー表示時間:最適化前 5 秒超 → 最適化後 1〜2 秒程度
- 静的リソース:CSS、JS、画像の読み込み時間が短縮
方法 3:サードパーティ測速ツール
各地・各キャリアからの速度を確認:
- 站长之家:http://ping.chinaz.com
- 17CE:https://www.17ce.com
全国・各キャリアのデータが得られ、より包括的です。
実測データ
私自身のビフォーアフター:
最適化前:
- Ping 遅延:280ms
- ファーストビュー:5.2 秒
- 静的リソース平均:800ms
最適化後:
- Ping 遅延:45ms
- ファーストビュー:1.1 秒
- 静的リソース平均:150ms
向上倍率:アクセス速度は約 4.7 倍。
よくある問題のトラブルシューティング
問題 1:設定後サイトが開けない、または「リダイレクトが多すぎる」
原因の多くは SSL/TLS 設定です。
対処:
- Cloudflare ダッシュボードにログイン
- 対象ドメインを選択
- 左メニュー「SSL/TLS」
- 「概要」で暗号化モードを「完全」または「完全(厳密)」に変更
原理:「フレキシブル」モードだと、Cloudflare から源站は HTTP、ブラウザから Cloudflare は HTTPS となり、無限リダイレクトが起きます。「完全」モードで全程 HTTPS になります。
問題 2:設定後も速度が改善しない
考えられる原因:
原因 1:測速時にプロキシを使用
測速中にプロキシソフトが有効でないか確認。有効なら切って再測定。私もこの罠にはまり、不正確な IP を選んだことがあります。
原因 2:源站自体が遅い
優良 IP は CDN 部分の最適化です。源站の応答が遅ければ効果は限定的。curl で源站速度を確認:
curl -o /dev/null -s -w 'Total: %{time_total}s\n' https://your-origin-server.com
原因 3:IP の選び方が不適切
result.csv の 1 位が必ずしも最適とは限りません。上位 5 件を試して最良のものを選んでください。
問題 3:しばらくすると優良 IP が再び遅くなる
正常な現象です。Cloudflare の IP 品質は変動します。
- 特定ノードのトラフィック増加
- 回線の調整
- キャリア側のポリシー変更
対処:
- 月 1 回の再測速と IP 更新を推奨
- GetCFipToDns など、定期測速と DNS 自動更新ツールの利用も検討
問題 4:国内は速いが海外が遅くなった
主な読者が国内なら無視しても構いません。海外ユーザーがいる場合:
- 方法 3 に「海外」回線を追加し、デフォルト Cloudflare ノードを指定
- GeoDNS で国内は優良 IP、海外は通常ルート
自動運用の提案
毎月手動で測り直したくない場合:
- cron ジョブ:CloudflareSpeedTest を定期実行し
result.csvを更新 - 監視アラート:Uptime Robot などで速度監視、低下時に通知
- DNS 自動更新:GetCFipToDns で測速と DNS 更新を自動化
私は方法 2 に月 1 回の手動再測速を組み合わせ、安定運用しています。
まとめ
Cloudflare が国内で遅いのは、あなたの設定ミスではなく、ノード割り当ての問題です。CloudflareSpeedTest で測速し、優良 IP を設定すれば、10〜30 分でアクセス速度を 3〜5 倍にできます。核心は 3 ステップです。
- 測速:CloudflareSpeedTest をダウンロードして実行(夜のピークを避け、プロキシはオフ)
- IP 選定:
result.csvから低遅延・高速・ロス 0% の IP を選ぶ - 設定:状況に合わせて DNS 直接変更、CNAME、キャリア別解決のいずれか
設定後は効果を検証し、問題があれば上記トラブルシューティングを参照。優良 IP は一度設定すれば永久ではありません。月 1 回の再測速で最適状態を維持しましょう。
Cloudflare を使っているなら、ぜひ試してみてください。私の経験では、一度設定するだけで体験が大きく改善し、「読み込みが遅い」という声も減りました。
コメント欄で質問や、最適化前後の数値比較の共有も歓迎です。どれくらい向上したか、ぜひ教えてください。
7分で読めます · 公開日: 2025年12月1日 · 更新日: 2026年6月8日
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