OpenClawマルチプラットフォーム設定実戦:13のチャネルでAIアシスタントを一元管理

午前3時、私はスマホの画面をぼんやりと見つめていました。
さっきWhatsAppでAIアシスタントに明日の会議日程を整理させたばかりなのに、会社に着いてSlackを開くと、AIは朝の議論を完全に忘れています。また一から要件を説明し直しです。夜、Discordでチームミーティングをしている時も同じ展開——プロジェクトの背景を一から説明し直す。AIがまるで記憶喪失になったかのようです。
「なぜ、どのプラットフォームでも『私』を覚えていてくれるAIアシスタントがいないんだろう?」
この思いがきっかけで、OpenClawをいじり始めました。正直、公式サイトに「13のプラットフォーム対応」と書いてあるのを見た時は、「設定が死ぬほど面倒くさそう」と思いました。しかし、Channel層アーキテクチャの設計は実にスマートでした。一度デプロイすれば、Telegram、WhatsApp、Discord、Slackなどあらゆるプラットフォームに接続でき、すべての会話をシームレスに同期できるのです。
これからの15分で、3つのプラットフォームを設定する全プロセスと、私が踏んだ「地雷」、そしてセキュリティ設定のノウハウを共有します。私のように仕事とプライベートで違うツールを使っている人には、きっと役立つはずです。
OpenClawのChannel層アーキテクチャはどう動いているのか?
OpenClawを調べ始めた時、疑問に思いました。Telegramのステッカー、Discordの埋め込み(embed)、WhatsAppのボイスメッセージ…フォーマットが全然違うのに、どうやってOpenClawはそれらを「共通言語」として扱っているのか?
答えは「Channel Adapters」層にあります。
メッセージ正規化の魔法
想像してください。あなたがTelegramでスタンプを送り、Discordで画像付きembedを送り、WhatsAppで音声を送ったとします。これらは各プラットフォームで全く異なるデータ構造をしていますが、Channel AdaptersがこれらをOpenClawが理解できる統一フォーマットに変換します。
具体的には:
- Telegram stickers → 標準化された画像添付ファイル
- Discord embeds → テキスト+メディアの組み合わせとして解析
- WhatsApp reactions → 絵文字テキストに変換
- ボイスメッセージ → 音声ファイルを抽出して文字起こし(設定されている場合)
このプロセスは完全に透明(transparent)です。あなたはただ各プラットフォームでメッセージを送るだけ。OpenClawが自動的にフォーマット変換を行います。
Gateway Server:交通の要所
メッセージが正規化されると、Gateway Serverに入ります。これがOpenClawの中枢脳であり、3つの役割を担います:
- Session Router(セッションルーター):このメッセージはどの会話セッションに属するか?個人のDMか?チームのグループか?それともプラットフォームを跨いだ同一人物の会話か?
- Lane Queue(レーンキュー):並行処理の制御。同時に3つのプラットフォームからメッセージを送っても、Lane Queueが競合しないよう順序正しく処理します。
- メッセージ転送:AIの返答を正しいプラットフォームの正しい相手に送り返します。
正直、「per-channel-peer」とか「per-account-channel-peer」といったセッションルーターの設定オプションを最初に見た時は混乱しました。これらのポリシーについては後で詳しく説明しますが、まずは一点だけ覚えてください:Gatewayのおかげで、WhatsAppで始めた会話をTelegramでシームレスに続けることができます。
13のプラットフォーム、どれを使う?
OpenClawが現在サポートしているリスト:
- IM:WhatsApp, Telegram, Signal, iMessage (BlueBubbles経由)
- コラボレーション:Slack, Microsoft Teams, Google Chat, Discord
- その他:Matrix, Zalo, Twitch, WebChat
私の組み合わせは Telegram(個人用)+ WhatsApp(家族・友人用)+ Discord(技術コミュニティ用)です。自分の利用シーンに合わせて選んでください。
3大プラットフォーム実戦設定(これに従えば15分で完了)
さて、理屈は十分です。手を動かしましょう。
インストールと初期化
ターミナルを開き、以下の2行を実行します:
npm install -g openclaw@latest
openclaw onboard --install-daemononboard がいくつか質問してきます:
- AIプロバイダー選択:Claude, GPT, Gemini, またはローカル?(私は慣れているClaudeを選択)
- APIキー:ペーストします。スペースや引用符が入らないように注意。
- Gatewayポート:デフォルトの18789のままでOK。
数分後、以下のように表示されます:
✓ Gateway WebSocket server started on ws://127.0.0.1:18789
✓ Control UI available at http://localhost:18789おめでとうございます。OpenClawがあなたのPCで稼働しました。
セキュリティのヒント:Control UIはデフォルトでlocalhostからのみアクセス可能です。リモートサーバー上の場合はSSHトンネルを使ってください:
ssh -N -L 18789:127.0.0.1:18789 your-serverTelegram設定:最も簡単な入門
Telegramは設定が一番速いので、ここから始めましょう。
Bot作成:
- Telegramで @BotFather を検索
/newbotを送信- Botに名前をつける(例:“My OpenClaw Assistant”)
- トークンを取得(
1234567890:ABCdefGHIjklMNOpqrsTUVwxyzのような文字列)
OpenClaw設定:
openclaw config set telegram.token "YOUR_BOT_TOKEN"YOUR_BOT_TOKENを先ほど取得した実際のトークンに置き換えます。検証:
- Telegramで自分のBot名を検索
/startを送信- Botが応答すれば成功
私が最初に設定した時、Botが無反応でした。原因はトークンをコピペした際に改行コードが入っていたことでした。トークンの前後の余計な文字は必ずチェックしてください。
WhatsApp設定:QRコードスキャン
WhatsAppはスマホとのペアリングが必要なので少し複雑です。
ペアリング開始:
openclaw config set whatsapp.enabled true openclaw gateway restartQRコードスキャン:
- ターミナルにQRコードが表示されます
- WhatsAppを開く → 設定 → リンクされたデバイス → デバイスをリンク
- ターミナルのQRコードをスキャン
接続待機:
“WhatsApp connected” と表示されれば成功です。
注意事項:
- スマホとPCが両方オンラインである必要があります(WhatsAppの仕様)。
- QRコードの期限が切れたら、
openclaw gateway restartで再生成してください。 - OpenClawはBaileysライブラリを使用してWhatsApp Webプロトコルを利用します。公式にBANされた事例は聞きませんが、ポリシー変更のリスクは自己責任で評価してください。
最初はBANを心配しましたが、スパム行為(一斉送信など)をしなければ通常利用で問題になったことはありません。仕組みはWhatsApp Webと同じだからです。
Discord設定:権限が鍵
DiscordはDeveloper Portalでのアプリ作成が必要で、手順が少し多いです。
アプリ作成:
- https://discord.com/developers/applications にアクセス
- “New Application” をクリックし名前を決定
- “Bot” ページに行き “Add Bot” をクリック
- トークンをコピー
権限設定:
ここが重要です。権限が足りないとBotはメッセージを受け取れません。- “OAuth2 → URL Generator” へ
- Scopesで
botをチェック - Bot Permissionsで以下をチェック:
- Read Messages/View Channels
- Send Messages
- Read Message History
- Attach Files
- 生成されたURLをコピーしてブラウザで開き、Botをサーバーに招待
OpenClaw設定:
openclaw config set discord.token "YOUR_DISCORD_BOT_TOKEN" openclaw config set discord.guildId "YOUR_SERVER_ID"Guild ID(サーバーID)の取得方法:
- Discordで開発者モードをON(設定 → 詳細設定 → 開発者モード)
- サーバーアイコンを右クリック → IDをコピー
テスト:
- Discordの任意のチャンネルでBotにメンション(@Bot名)
- 返信が来るか確認
私が最初に失敗したのは、権限設定で Read Message History を忘れていたことでした。これがないとBotは過去のメッセージを読めず沈黙します。このステップは飛ばさないでください。
セッション管理の秘密——AIに全プラットフォームで「自分」を覚えさせる
3つのプラットフォームを設定した後に気づくかもしれません。TelegramでAIと話し終えてDiscordに切り替えた時、AIはどうやって同一人物だと認識するのでしょう?
それがSession Routerの役割です。
Mainセッション vs 隔離セッション
OpenClawのデフォルト戦略は、すべてのDM(個人チャット)は同一の “main” セッションに入る というものです。
どういうことかというと、Telegramで話そうが、WhatsAppで話そうが、Discordで話そうが、それらは共有の対話履歴を持ちます。AIはどのプラットフォームでも、あなたが過去に話した内容を覚えています。
しかし、チームでOpenClawを導入し、複数の同僚が使う場合はこれでは困ります。みんなのメッセージが混ざってしまうからです。その場合は隔離戦略が必要です:
openclaw config set session.dmScope "per-channel-peer"この設定にすると、「各プラットフォームの各ユーザー」ごとに独立したセッションが作られます。
さらに細かい隔離も可能です:
openclaw config set session.dmScope "per-account-channel-peer"これは複数のOpenClawアカウントを管理する場合の設定です。
正直、個人利用ならデフォルトの “main” セッションのままにしておくのが一番です。「私という個人」を全プラットフォームで統一して認識してほしいからです。
クロスプラットフォームID連携
時には、明示的に「Telegramの@usernameとWhatsAppの+8190xxxxは同一人物だ」と教える必要があります。
session.identityLinks を設定します:
session:
identityLinks:
- platforms:
telegram: "@your_username"
whatsapp: "+819012345678"
discord: "123456789012345678" # Discord User IDこれで、どのプラットフォームから話しかけてもOpenClawはあなただと認識し、同じ会話の続きができます。
便利なセッションコマンド
AIの話が脱線してリセットしたい時や、現在のモデルを確認したい時に役立ちます:
/status- 現在のモデル、トークン消費量、セッション時間を確認/new- セッションをリセットし、履歴をクリア/activation mention- グループ内でメンションされた時のみ反応するように設定/activation always- グループ内の全メッセージに反応(うるさいので注意)
Control UIのSessionsページで使える管理コマンドもあります:
sessions_list- アクティブなセッション一覧sessions_history- 対話履歴のエクスポートsessions_send- 特定のセッションに手動でメッセージ送信
正直 /new を一番使います。AIの理解がズレた時、修正するよりリセットした方が早いことが多いです。
セキュリティ設定——見知らぬ人の「タダ乗り」を防ぐ
設定して数日ウキウキして使っていたら、突然API請求額が跳ね上がりました。ログを確認すると、見知らぬ誰かが私のBotを猛烈に使い倒していました。
この事件を機に、OpenClawのセキュリティポリシーを真剣に調べました。
DMペアリング戦略:デフォルトの防衛線
OpenClawのデフォルト dmPolicy は pairing(ペアリングモード)です。
これはどういう仕組みかというと、見知らぬ人が初めてあなたのBotにDMを送ってもBotは無視します。代わりにログに6桁のペアリングコードを生成します。あなたは手動で承認する必要があります:
openclaw pairing approve telegram ABC123コードは1時間で期限切れになり、ブルートフォース攻撃を防ぎます。承認されて初めて、そのユーザーはBotを使えるようになります。
最初は面倒だと思いましたが、理解しました——このガードがないと、Botのユーザー名を知った誰もがあなたのAPIキーを使って(つまりあなたのお金で)無限にAIを使えてしまうのです。
4つのDMポリシー、どれを選ぶ?
OpenClawは4つの戦略を提供しています:
| ポリシー | 適用シーン | リスク |
|---|---|---|
pairing(デフォルト) | 個人利用、友人にシェア | 🟢 低リスク |
allowlist | 特定のホワイトリストユーザーのみ | 🟢 低リスク |
open | 公開Bot、誰でも利用可 | 🔴 高リスク |
disabled | DM完全無効、グループのみ | 🟢 低リスク |
コミュニティ向けに公開Botを作りたいなら open ですが、必ずトークン使用量の監視等とセットで運用してください。破産します。
設定例:
openclaw config set dmPolicy "allowlist"
openclaw config set dmAllowlist "telegram:@friend1,whatsapp:+819012345678"グループサンドボックス隔離:悪意あるコマンドを防ぐ
OpenClawのAIエージェントはツール(bashコマンド、ファイル操作など)を実行できます。もし誰かがグループチャットで rm -rf / を実行させようとしたら?
グループサンドボックス戦略はこのためのものです。
openclaw config set agents.defaults.sandbox.mode "non-main"この設定の意味は「非メインセッション(グループチャット等)のAIはDockerサンドボックス内で動作し、ホストファイルシステムにはアクセスできない」です。
許可/拒否するツールも細かく設定できます:
agents:
defaults:
sandbox:
mode: "non-main"
allowedTools:
- web_search
- calculator
deniedTools:
- bash
- file_write私はグループチャットでは検索と計算機のみ許可し、bashとファイル操作は禁止しています。機能とリスクのバランスです。
メンション制御:「常時オンライン」の気まずさを回避
DiscordサーバーにAIを入れた後、すべての発言に返信してくると非常に鬱陶しいです。
activation: mention ポリシーで、メンションされた時だけ反応させましょう:
openclaw config set agents.defaults.activation "mention"これでAIは静かな潜水夫のように待機し、必要な時だけ呼び出せます。
セキュリティチェックリスト:
openclaw doctorこのコマンドは設定をスキャンし、潜在的なリスクを警告してくれます:
- ✗
dmPolicy: openwithout rate limiting - ✗
sandbox.mode: disabledin group sessions - ✓ API key properly configured
- ✓ DM pairing enabled
一度 doctor を走らせれば、多くのセキュリティホールを塞げます。
ハマりどころとトラブルシューティング
設定プロセスには必ず落とし穴があります。私が落ちた穴を紹介します。
落とし穴1:APIキーの問題
症状:Botは起動しているが、メッセージを送っても無反応。ログに Invalid API key。
原因:
- キーのコピー時にスペースや引用符が入った
- 環境変数が反映されていない(ターミナル再起動が必要)
- APIアカウントの残高不足(ClaudeやGPTはプリペイドの場合あり)
解決:
# 余計な文字がないか確認して再設定
openclaw config set anthropic.apiKey "sk-ant-..."
# 設定確認
openclaw config get anthropic.apiKey
# Gateway再起動
openclaw gateway restart落とし穴2:ポート競合
症状:openclaw gateway start で Port 18789 already in use エラー。
原因:前のGatewayプロセスがゾンビ化して残っている。
解決:
# 優雅に停止
openclaw gateway stop
# ダメなら強制終了
pkill -f openclaw-gateway
# 再起動
openclaw gateway start落とし穴3:Control UIへのアクセス問題
症状:ブラウザで http://localhost:18789 を開くと control ui requires HTTPS or localhost と表示される。
原因:リモートサーバーにデプロイし、IPアドレスで直接アクセスしている。
解決策1:トークンパラメータを使う
http://your-server-ip:18789?token=YOUR_TOKENトークンは ~/.openclaw/gateway.env にあります。
解決策2:SSHトンネル(推奨)
ssh -N -L 18789:127.0.0.1:18789 user@your-serverこれでローカルから http://localhost:18789 で安全にアクセスできます。
落とし穴4:Channel接続失敗
Telegram:
- トークン有効性確認:BotFatherで確認
- ネットワーク問題:特定の地域ではプロキシが必要
WhatsApp:
- QR期限切れ:
openclaw gateway restartで再生成 - スマホオフライン:スマホがネットに繋がっていないと同期不可
- デバイス数制限:WhatsAppは最大4台まで
Discord:
- 権限不足:
Read Message Historyを確認 - Guild ID間違い:正しいサーバーIDか確認
- Bot未招待:OAuth2 URLで招待し直し
落とし穴5:セッション消失
症状:Gateway再起動後、以前の会話履歴が消えた。
原因:OpenClaw(2026年初頭時点)はセッション永続化を実装していません。メモリ上のセッションは再起動で消えます。
緩和策:
- 重要会話は
sessions_historyでエクスポート - 公式の永続化機能実装(ロードマップにあり)を待つ
正直、これが一番改善してほしい点です。更新のたびにAIに自己紹介し直すのは面倒ですから。
まとめ
2週間OpenClawをいじり倒して感じた最大のメリットは、本当にAIがクロスプラットフォームの「統一アシスタント」になるということです。
朝WhatsAppでスケジュールを確認し、会社でSlackで議論し、夜Discordで連携する。すべての文脈がシームレスに繋がる体験は、単一プラットフォームのBotでは味わえません。
Channel層アーキテクチャの正規化、Session RouterによるID管理、そして細粒度のセキュリティ制御。システム全体が柔軟かつ堅牢に設計されています。
もちろん、OpenClawはまだ進化途中です。セッションの永続化やSkillsマーケットプレイスなど、今後のロードマップにも期待大です。
もしあなたも試してみたいなら:
curl -fsSL https://openclaw.ai/install.sh | bash15分の設定で、クロスプラットフォームAIアシスタントが手に入ります。
設定で詰まったらGitHub Discussionsへ。コミュニティの反応は早いです。私もTelegram接続でトラブった時、10分で助けてもらいました。
あなたはどのプラットフォームを繋げますか? どんな落とし穴がありましたか? ぜひ共有してください。
FAQ
なぜopenモードではなくpairingモードが推奨されるのですか?
Discord設定でBotが反応しません。
WhatsAppのペアリング後、スマホは常時オンラインである必要がありますか?
AIはTelegramとWhatsAppの私が同一人物だとどうやって認識しますか?
Gatewayを再起動すると会話履歴が消えますか?
グループチャットでのセキュリティはどうなっていますか?
Control UIのエラー「requires HTTPS or localhost」の回避策は?
回避策1:SSHトンネルを使用する(ssh -N -L 18789:127.0.0.1:18789 user@server)。
回避策2:URLにトークンパラメータを付与する(http://IP:18789?token=YOUR_TOKEN)。トークンは ~/.openclaw/gateway.env に記載されています。
推奨はSSHトンネルです。
7 min read · 公開日: 2026年2月5日 · 更新日: 2026年2月5日
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